自然な和訳のコツが分かる「英文翻訳術」
最近、「英文翻訳術」という本を買いました。
- 作者: 安西徹雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/05/01
- メディア: 文庫
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タイトルの通り、普通の英語学習用の書籍とはかなり趣旨が違っていて、「英語を自然な日本語に翻訳する」という視点から書かれている本です。
この本は、基本的にエッセイとか小説のような英文の翻訳を想定しているのですが、技術系のドキュメントを和訳するときにも十分参考になると思いました。
例えば、こういう文章があったとして、
If --help is specified, the program displays all available options.
素直に和訳すると次のようになります。
--helpが指定されると、プログラムはすべての利用可能なオプションを表示します。
何も間違っていないですが、日本語として多少ぎこちない感じがします。「英文翻訳術」を見ると、「副詞化した方が良い形容詞」としてall, every, each, bothなどが挙がっていて、それにしたがうと、訳文を以下のように書き換えられます。
--helpが指定されると、プログラムは利用可能なオプションをすべて表示します。
さらに、「英文翻訳術」には無生物主語に関する考察もあって、それにしたがうと、主語を操作者に移すことで
--helpを指定すると、プログラムで利用可能なオプションがすべて表示されます。
と書き換えられます。かなり自然な日本語になりました。
「英文翻訳術」は、このようなテクニックが体系的にまとまっていて、とても勉強になる本だと思います。おすすめです。