情報視覚化のテキスト『ビジュアライジング・データ』

Javaをベースとした視覚化用プログラミング言語Processingの主要開発者であるBen Fryさんの書籍『Visualizing Data』を翻訳した『ビジュアライジング・データ』が、オライリージャパンから出版されます。

ビジュアライジング・データ ―Processingによる情報視覚化手法

ビジュアライジング・データ ―Processingによる情報視覚化手法

監訳は増井俊之さんです。僕も少しだけ査読校正に加わらせていただきましたので、内容を紹介します。

この本は、Processingのコードを使って、情報視覚化の手法をじっくりと解説しています。Processingは元々、プログラミング初心者向けに開発された言語なので、書籍中に出てくるサンプルコードも平易になっていて、Processingを知らない人でも簡単に読み進めていけると思います。

取り上げられている手法は、散布図や折れ線グラフのような馴染み深いものから、ツリーマップやネットワーク図のような高度なものまで多彩です。単にイメージを出力するだけではなくて、マウスやキーボードと絡めたインタラクションについても、かなり実践的に書かれています。

僕がこの本で一番面白かったのは、グラフィックが持つ視覚効果の優劣をしっかり議論しているところです。例えば、2色間のグラデーションを使うときはRGB色空間よりHSB色空間を使うべきとか、グラフ中に引くグリッド線はどこまで必要かというように、なるほどと思わせる考察があちこちに出てきます。

逆に気になる点を挙げるとすれば、解説が非常に丁寧(例えば、Webからデータをスクレイピングする方法が1から説明される)なので、人によっては読み飛ばしたくなる部分があるかもしれないです。

全体として良くできている書籍だと思うので、情報可視化に興味のある方はぜひ予約してみてください。12月1日発売です。